共感することで癒されることがあります。
人は苦しい時や辛い時に、その気持ちを汲んでもらい「辛いですよね」「痛かったですよね」といった言葉が、どんな薬よりも効果が出ることがあります。
昔はこのような労わりを感じることが少なかったといいます。
ある人の体験談を紹介しましょう。
その人は後頭部を強打したあと、夜に全身の震えと身体の硬直を感じ、翌朝歩いて5分の救急病院に向かいました。そのとき「頭部打撲で何かしらの出血や損傷があれば歩くことができないので、打撲でしょう」と医師に言われたそうです。その人自身もなんとか納得する為に検査を申し出てて、CT検査やMRI検査などをすることになりました。検査室までは自分で歩いて移動です。検査が終わって待合室に座っていると、意識が保っているのが精いっぱいだったそうなのですが、看護師が急いでやってきて、「気分は悪くないか」「吐き気はしないか」などと、先ほどとは手の平を返すような対応をしたのだそうです。検査の結果、医師が「あり得ない」と言っていた脳内出血があった、というのです。それまで病院内を歩いて検査室まで行くように、と強く言っていた看護師までが「車椅子を出します」と言います。そしてそのまま緊急入院になると言われたのだそうです。
この体験談から、患者を医師や看護師の欲しい情報だけで判断したのだと考えられます。最初からもっと深い理解力を持っていれば早くに状態が分かったのではないでしょうか。
1つ間違えればその人はこの世にはいなかったかもしれません。
看護師に求められるのは「人間愛」です。「人を大切に思う心」を教育課程でしっかりと育むことが必要です。